冗談カスタマーレビュー
チェコの作家ミラン・クンデラ(1929〜)の最初の長編小説(チェコ語の初版は1965年出版)。映画化もされた「存在の耐えられない軽さ」が最もよく知られている作家であるが、「存在の…」においてみられる彼の小説手法やテーマは、本作品に、すでにあますところなく盛り込まれており、さまざまなテーマや細部間のバランスの絶妙さなど、むしろ本作品の方が完成度は高い部分もあるのではないかと思われる。
舞台は共産党による独裁政下のチェコ。ある生え抜きの共産党員で前途有望な青年が、罪のない「冗談」を告発されたのが原因で転落し、挫折の末に裏切った旧友への復讐をもくろむが…というあらすじだが、国家体制批判が目的の小説ではない。ここでは政治体制の問題は、より普遍的な人間性の問題を扱う際の「レンズ」のよ